バラの季節が終わる頃

なんだか最近、ちょっと時間が足りない。「忙しい」と口にするのは昔からあまり好きではなくて、むしろそういう人ほど意外と忙しくないんじゃないか、なんてひねくれたことを思っていた。ところが最近は本当に時間が足りないぞと思うことが増えて、スケジュールを作るものの予定通りに行かず、ちょっと雑用を片付けようと思っていたところにも予定がねじ込まれていく。やるべき仕事を物理的に進める時間が足りない。

仕事のやり方を変えなきゃいけないとか、仕組みを見直さなきゃとか、そんなことは毎日のように思うのだけど、その見直す時間を取るのが難しい。20代とか30代前半とかは勢いでやってきて、いろいろな人に迷惑もかけながら、それでもなんとか前に進んできたような気がする。

でも最近は勢いだけではどうにもならないことも増えてきた。AIのおかげで随分楽になったこともある。以前なら何時間もかかっていたことが短時間で終わるものも増えた。その一方で「こんなのAIにやらせれば一瞬なのに」と思うような仕事を相変わらず人間が処理していることもある。誰のためなのかよく分からない書類だったり、昔からただ続いている誰も意味が分からなくなっている慣習だったり。

そういう仕事は難しい仕事ではなくて、単純なものも多いけど、だけど、そういう仕事とも呼びたくない仕事が一番気持ちを削るような気がしている。仕事の愚痴はこれくらいにして…、週末に庭作業ができるのだから、まだまだ余裕があるのかしら!?なんて思ったりもして。

この季節の庭にはとても助けられている。週末も、仕事から帰った夜も庭をうろうろ歩いたり、立ち尽くしたり、しゃがんでじっと見たりしている。ほとんど夜の薄暗い庭をうろうろしているから犬の散歩などで通ったご近所さんには怪しまれているに違いない。でも、この時間は、本当に実感するくらい植物からエネルギーをもらっている時間になっている。

ピンクサマースノー(春かすみ)とイモージェン
イモージェン
プリンセスアレキサンドラオブケント

この時期は庭全体が香りに包まれている。つるバラのピンクサマースノーは年々大きくなり、庭での存在感がずいぶん増した。そんなに香りが強い品種ではないように思うのだけど、花数がすごいので、香りも増している。車から降りた瞬間にフワといい香りがしている。

マダムアルディ
ノヴァーリス

植えて2年目になるマダムアルディは美しさもすごいし、香りもすごい。この品種は1831年作出のオールドローズだけど、新しいバラにも全然負けない美しさ。一季咲きなので、この時期の年一回しか花を見れないけど、シャクヤクなどのように1年の楽しみになった。近くを通るだけで甘く上品な香りがふわっと漂ってくる。

デイムジュディデンチ
ヨハネパウロⅡ 今年移植したけど無事に開花。
グラハムトーマス
ザカントリーパーソン 今年地植えだったものを鉢上げした。トゲがすさまじいので、地植えだと扱いにくかったけど、鉢植えにすると良い感じになった。
クレアオースチン

イングリッシュローズのジュディデンチも今年はすごい。例年、花数こそ多いものの、ぽつりぽつりと散発的に咲く印象だった。だけど今年は一気に咲き揃って、遠くから見てもオレンジのとてもきれいな色が目を引いている。香りがまた優しくて、この香りが玄関先まで流れてきて、家に帰るたびに幸せな気持ちになる。

ユーステイシアヴァイ
バスシーバ まだ2年目で株は成長中。
ダナヒュー
アストリットグレーフィンフォンハルデンベルグ

去年の秋には殺菌剤の散布もあまりしていなくて黒星病が蔓延し、かなり色々な品種で葉を落としてしまった。これと関係しているのか、冬季の枝枯れも例年より多くて、今年のバラはあまり期待できないと思っていた。それでも春にぐんぐん枝を伸ばし、例年並みか品種によっては多くの花を咲かせてくれた。

サイラスマーナー
レディエマハミルトン

天気にも恵まれて本当によく咲いてくれたけど、先週末の長雨が一つの区切りとなって、今年のバラも大部分が終わったように思う。この地域は夜になると気温差で霧が出ることも多く、恒例の灰色かび病も始まってきた。

ピース

今日は台風から変わった低気圧が来るという予報だったので、残っていた花をほとんど切花にして楽しむことにした。家のあちこちに飾ってみると、なんだか高級ホテルのようだ。家の中がバラの香りがして、それだけで少し贅沢な気分になる。

先週から急に暑くなってきて、暑くなると現れてくるのが憎きコガネムシ。せっかく咲いた花の中に入り込んで、むしゃむしゃと食べている。花をボロボロにするし、糞で汚して台無しにする。フェロモンを出すらしく仲間も呼び寄せるらしい。アブラムシ用の薬なんて直接噴射してもほとんど効かないし、薬を撒いたからといって近寄らなくなるわけでもない。

キューガーデン
オリビアローズオースチン
ヴァネッサベル

結局一番効果があるのは見つけ次第の捕獲。ふみつけ。でも地面に置いた瞬間に飛んで逃げるやつもいるから最近は手でそのまま…ということも出来るようになった。なんとも原始的な戦い。

パパメイアン
ジエンシェントマリナー
イングリッドバーグマン

春が来たなと思っていたら、シャクヤクが咲いて、その後を追いかけるようにバラが満開になり、気づけばもうその季節も終わりを迎えようとしている。これからはユリの出番。スカシユリがあちこちで咲き始めた。

庭はいつも誰かが主役になって、誰かが静かに舞台を降りていく。宿根草や球根をたくさん植えて、こういうのが数年前から出来るようになってきた。すごくおもしろいし、なんだか儚さみたいなものもあるけど、楽しくもある。

季節は毎年同じように巡るけど、新しい植物を植えたり、抜いたり、配置を変えたりしていて、だから、この一年は二度とないとも言える。そしてだからこそ、夜の庭を少し歩く時間くらいは、時間がなくても、忙しくても大事にしたいなと思う。そんなことを思う夏の入り口です。

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