Castelo Rueda Verdejo カステロ・ルエダ・ベルデホ
このワインを作ったワイナリーである「ボデガス・カステロ・デ・メディナ(Bodegas Castelo de Medina)」は1995年11月にスペイン・ルエダで開業した。
「ボデガス」はスペイン語でワイナリー(醸造所)を示すので、その後に続く「カステロ・デ・メディナ」というのがワイナリーの名前になる。この名前はスペインの内陸部にあるカスティーリャ・イ・レオン州にある人口2万人ほどの町、メディナ・デル・カンポ市にある「モタ城(Castillo de La Mota)」に由来しているのだとか。
モタ城は12〜15世紀にかけて建設された大変に歴史の長いお城で、スペイン語版のWikipediaには読めないけど、お城の美しい写真と歴史がまとめられている(と思う)。この長い歴史の中の一時期には、牢獄としての役割を担っていたこともあるらしく、その地下牢にはあのチェーザレ・ボルジアも幽閉されていたのだとか。
学生の時におもしろく読んだ塩野七生の「チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷」のかすかな記憶がここで甦ってきた。ワイナリー名の”Castelo”は「城」なので、「メディナにある城」=「モタ城」ということになるんだろう。そしてワイナリーの建物もモタ城の様式を模して建設されているようだ。
このワイナリーがあるルエダ地方はブドウ畑が海抜700〜800メートルの高地にあり、エリア全体が山に囲まれているんだとか。大陸性気候で夏は非常に暑くなり、冬も寒くなるという気温差の激しい地域。栽培されるブドウ品種は伝統的に白のベルデホと1970〜80年代にかけて導入されたソーヴィニヨン・ブランがあるが、ルエダ地方で作られたワインは、同じブドウ品種でも他の地域とは一味違うフレッシュ&フルーティーな特徴を有しているのだとか。
土壌は砂と砂利を含む粘土質という、草花や野菜を植えるには最悪の地質に思えるところなのだけど、ブドウにとってはとても適した環境らしい。カステロ・デ・メディナはこの地域に180haもの広大な畑を所有している。
ベルデホというブドウ品種のワインを飲んだのは今回が初めて。ベルデホ(Verdejo)は11世紀ごろからルエダ地方で伝統的に栽培されてきた品種で、寒い冬と暑い夏、そして乾燥にもよく耐える強健品種ということで、この地域に適合したようだ。ベルデホは歴史的に長いことシェリー酒のような酒精強化ワインの原料として用いられることが多かったらしいのだけど、1970年代後半から低温発酵などの技術・醸造革新が起きて以降、フレッシュな白ワインの生産へとスタイルが大きく変わったのだとか。
今回飲んだ「カステロ・ルエダ・ベルデホ」はこのワイナリーが作るスタンダードクラスのワイン。ワインをグラスに注ぐとハーブとパイナップルが混ざったようなとても爽やかな香りが広がった。そして透明感のあるきれいなイエローの液体がキラキラと輝いていて、しばらくグラスをゆらゆらとさせて見てしまったほど。
香りと見た目だけで美味しさを予感させるものがあった。香りは青っぽいハーブやパイナップル、リンゴ、パッションフルーツっぽいトロピカルな印象もあった。味わいはしっかりとした酸味と極微発泡の要素がとても生き生きとした口当たりで、ほんのりある苦味が味わいを引き締めているような印象だった。爽やかな余韻のあるワインだった。
スタンダードクラスでこの香りと味わいだったので、カステロ・デ・メディナの作るほかのワインはどんな感じなんだろう。順番に飲んでみたいと思った。
- 生産者:Bodegas Castelo de Medina ボデガス・カステロ・デ・メディナ
- スペイン ルエダ
- 品種:ベルデホ85%、ソーヴィニヨン・ブラン15%
- ヴィンテージ:2019
- アルコール:13.5%
ラベルに描かれているコンパスは「高品質のワインづくりへ」という意味が込められているらしい。