ダリア「こころ」と寒冷地での育て方

ダリア「こころ」はとても育てやすい品種

ダリア「こころ」は秋田国際ダリア園の園長であり、日本ダリア会理事長でもある育種家の鷲澤幸治氏によって作出された品種である。秋田国際ダリア園では鷲澤氏が育てたダリア品種のほか、世界各地で育種栽培された700品種7000株ものダリアをみることができる。

ホームページのフォトギャラリーを覗いただけでもすばらしく豪華なダリアの咲きっぷりをみることができる。情報によるとここは一般的な観光ガーデンよりも開園期間が短く、ダリアに特化したガーデンのためかダリア開花時期である8月のお盆ごろから11月上旬の範囲での開園となっているようだ。入場料は大人400円、小中学生は無料。

ダリア「こころ」

「こころ」は草丈が育っても1メートルくらいと比較的低いところで安定し、株もがっちりと育つので風や雨による倒伏の不安も少なくとても育てやすい品種。

花茎も強く太めなので花がボキりと折れることもない。仕立て方もむずかしいことはなく、終わった花を摘んでいくだけで次々に新たな芽を出して花を咲かせてくれる。花は大輪のフォーマルデコラ咲きで、桃色と黄色のグラデーションがとてもかわいらしくて豪華な印象もある。

ダリア こころ
ダリア こころ
ダリア こころ
ダリア こころ
ダリア こころ

球根を購入した1年目からこれくらいの花が次々に咲きます。マジで感動した。

寒冷地でのダリアの育て方と掘り上げ

寒冷地でのダリアの球根の植え付け時期は、遅霜の心配がなくなったころで、5月のゴールデンウィーク明けから5月中に植えることができれば十分に育ってくれる。ダリアは新芽に限らず成長後も霜に当たると一発で枯れてしまうので、植え付け時期は焦らずにタイミングを見計らって植えるのがいいかもしれない。

ダリアの株は条件が良ければ想像以上に大きく育つので、植える場所はある程度のスペースを確保した方がいいように思う。植える時には長く効くタイプの緩効性肥料を土に混ぜ込んでおく。

ダリアの芽

球根を植えてから早ければ1週間から2週間くらいで芽が出て、春から初夏にかけて株を大きく丈夫に成長させる。株が大きくなると風や雨で倒伏する可能性があるので、できれば支柱を複数本組み合わせると安心。

夏の終わり頃から秋にかけてが開花最盛期で、霜が降りるころまでは、どんどん新しいつぼみと花を咲かせるため開花期間はとても長い。1つの花の開花も1週間以上は余裕で咲いているので切り花としても楽しめる。終わった花を順番に摘み取り、肥料も定期的にあげることで花が途絶えることなく咲き続ける。

秋の終わりから初冬にかけて気温が下がってくると、花数は少なくなるもののそれでも咲き続ける。日中と朝晩の温度変化が大きいためか花色はより鮮やかでクリアーになって来る気がする。この時期になると庭のほかの花々はほとんどが終わりつつあるので、とても貴重な存在。

この頃になるといつ霜が降りるか分からないので(霜が降りるダリアは一発で枯れる)、株は元気そうでも球根の掘り上げ作業をはじめる時期でもある。気温が急激に下がって地面が凍結すると球根を痛めるので、花がついている場合でも思い切って掘り上げた方が安心かもしれない。

寒冷地では冬の間球根を掘り上げ、凍らないところで保管しないと凍って死んでしまうリスクがとても高い。春に植えた時には球根は小さくても、掘り上げ時になると大きく成長しているのでなかなかの力仕事。しかも球根を切らないようにスコップを入れるのがちょっと大変でもある。

掘り上げたダリアの球根

球根の保管方法

掘り上げた球根は、土をきれいに落として細かな根を切って、できればオーソサイドなどの殺菌剤で消毒をする(保管中のカビリスクを少しでも低下させるため)。水気切ってから表面を少し乾かすといいけど、乾燥させすぎるとブヨブヨになって腐ってしまうので置きっぱなしに注意。週末ガーデナーは物置や軒下に球根を置いておくと、そのまま次の週末まですっかり忘れてしまうことがある。運がよければ多少水分が抜けているくらいだけど、天気の良い日が続くと外側カラカラ、中身ブヨブヨの腐りかけダリアになってしまう。

一つの球根から1シーズンでこれくらいに増えることもよくある。

保管場所は室内の涼しい〜寒いところなど、凍らない場所。室温くらいの暖かいところでも良いのだけど、暖かいと球根が「春が来た!」と勘違いをして発芽することが多い。このあたりはジャガイモや玉ねぎの保管も同じかもしれない。

グラジオラスやチューリップの球根はカラカラに乾燥してもいいのだけど、ダリアの球根については乾燥させすぎず、湿らせすぎずの微妙な感じで保管するのがポイント。しかしこれは逆に言うとカビの発生を促すようなものなのでこのあたりがジレンマ。カビが発生して進行すると球根の内部まで侵食して腐ってしまう。

そのためビニール袋に入れての保管でもいいけど、これだと袋の内部に水滴が発生しカビるリスクが高いので、まめにチェックをする必要がある。そこでよく推奨されているのは「おがくず」の利用。ビニール袋の中に球根を入れ、球根が隠れる程度に「おがくず」を入れるとちょうど良い乾湿環境になるので保管しやすい。

しかしおがくずはホームセンターに売っていなかったり、量がかさむと意外と高くつくことがある。知り合いに木工所などの方がいれば無料で大量にもらえそうなものなのにお金を払うなんて、、という気持ちになる。この気持ちは米ぬかや籾殻についても同じで、知り合いに精米所や米農家さんがいると無料で大量にもらえる「あるある」の一つ。

なのでこれら色々な条件をクリアするものでオススメの資材としては「バーミキュライト」が良いと思う。バーミキュライトは土壌改良によく使われる資材の一つで、「ひる石」と呼ばれる鉱物を高温で焼いて膨張させ、それを細かく砕いたもの。

見た目はゴールドでキラキラとしており、光が反射すると光沢がある。園芸用土として優秀な「ゴールデン粒状培養土」の中にも配合されていて、この培養土の「ゴールデン」はバーミキュライトのゴールドから取ったものじゃないのかとたった今気がついたのだけど、真偽のほどは不明。

バーミキュライトはそれ自体に栄養分があるとかそういう資材ではなく、その構造そのものにポイントがあって、通気性と保水性という相反するような特徴をどちらも備えていて、それにより水分や湿度をほどよく保つことができる。

用土として使えば肥料を留めておく保肥性にもすぐれているし、軽いのでとても扱いやすい。これを使うと、おがくずのように乾湿環境をバランスよく保ちながら、人工的に生成された素材として清潔なことも合わさり、おがくずよりもカビが発生するリスクが一番低いように思う。そして量を多く比較的安く買うこともできるのも嬉しい。

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