フリードリッヒ・ヴィルヘルム・ギムナジウム

フリードリッヒ ヴィルヘルム ギムナジウム グラーハー・ドームプロブスト・シュペートレーゼ (2008)

ワイナリー名の「フリードリッヒ・ヴィルヘルム・ギムナジウム」が長いので以下FWGに略してみるけど、その後に村名である「グラーハー」と畑名の「ドームプロブスト」と等級「シュペーとレーゼ」がつくのでやっぱり長い。

ドイツワインのラベルの畑名はそれがそのままワイン名になるので、村の名前と合わせて表記していることが多い。というのも、各地域や村に同じ名前の畑があるので、村名を併記することで単一畑を特定している。今回記録するグラーハー村の「ドームプロブスト」という単一畑はモーゼル中流域の代表的な銘醸畑として知られており、ヴィリ・シェーファーなど一流の生産者が畑を所有しているところ。

フリードリッヒ・ヴィルヘルム・ギムナジウム グラーハー・ドームプロブスト・シュペートレーゼ

このワインのインポーターのホームページを見ると、生産者であるFWG醸造所は1561年まで遡るほど長い歴史と伝統があるようだ(そのころ日本では武田と上杉の「第4次川中島の戦い」が勃発している)。モーゼル川上流域にある古都トリアーは交通の要衝であると同時にワイン産業にとっての重要な都市。16世紀当時、この醸造所はイエズス会の管轄下にあったトリアー大学から派生して設立されたようだ。当時のイエズス会は日本に宣教師を送ったり、ワイン醸造を始めたりと大変にエネルギッシュだったようだ。

それから約300年の間にイエズス会が解散したり、ナポレオン時代にも色々なことがあったりしたらしい。

トリアー生まれの哲学者カール・マルクスは1835年にここの講堂で高校卒業証書を受け取っており、会社名の「フリードリッヒ・ヴィルヘルム」は19世紀当時のドイツ皇帝の名前にちなんでいるのだとか。なんだか世界史の授業みたいだ。

そして設立から460年後(!)の2004年にはモーゼル地方で多数の畑を所有する大規模な醸造所「ビショフリッヒェ・ヴァインギューター・トリアー」と合併している。ビショフリッヒェ・ヴァインギューター・トリアーはモーゼル地方の伝統ある3つの醸造所が合わさって1966年に設立されている。

所有している畑はモーゼル上流域からザール、ルヴァーのほかに中流域の銘醸畑としてグラッハーやピースポートにも持っている。FWGは現在、今回のグラーハードームプロブスト(17.80ヘクタール中0.86ヘクタール)、グラーハーヒンメルライヒ、ベルンカステラー・バードストューべ、トリッテンハイマーアポテーケ、ファルケンシュタイナーホフベルクなど特級畑を多く所有している。

  • 生産者:Friedrich Wilhelm Gymnasium フリードリッヒ ヴィルヘルム ギムナジウム
  • ドイツ モーゼル地方 Graacher Domprobst グラーハー ドームプロブスト(司祭長)
  • 品種:リースリング 等級:シュペートレーゼ(甘口)
  • ヴィンテージ :2008(生産者蔵出しワイン)
  • アルコール分8.5%

2008年のヴィンテージだけどワインの色味からは熟成感はそれほど見られず淡いレモンイエロー。透明度が高くアルコール分が低いこともありサラリとした印象。香りは豊かで、トロピカルなフルーティさとほんのり乾燥バジルっぽいハーブ&スパイシーな香りやリンゴ、草っぽい香りなど複雑さを感じた。味わいはシュペートレーゼでも程よい甘さで、はじめ爽やかで軽快な酸味を感じるけど、2008年ヴィンテージの熟成から来ると思われるコクやふくよかさも感じられた。もうしばらく置いてさらに熟成させても楽しめるかもしれない。美味しかった。

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