あこがれのグラハム・トーマス

グラハム・トーマスの購入と開花

2017.6.1

週末、仕事終わりにホームセンターに行くと、イングリッシュローズの銘花「グラハム・トーマス」が入荷していた。ついこの前行った時にはなかったのに、、と、「きっとこれを買わないと後悔するだろうなあ」とか「これは自分のためにここで買われるのを待っているのではないか」とか勝手な妄想をして、またバラを購入してしまった。

「しまった」ということはないのだけれど、庭作り初年度からこんなにバラを増やして大丈夫だろうか、と一抹の不安を感じながらの購入。バラの本や雑誌、ガーデナーブログをみて、自分の庭にあったらなーと以前からあこがれていた品種。価格が4千数百円とちょっと勇気が必要だったけど、これから長く付き合うのだからと、自分を納得させて買った。

購入した時にはすでにつぼみが上がっていて、庭に植えてからも日に日に大きく色がついて膨らんできたので、朝の出勤前と夕方の帰宅後に確認するのがすごく楽しみだった。そしていよいよ開花した。

殿堂入りバラ「ピース」の名前に込められたもの

とんでもない美しさでびっくり。朝いつもの感じで見に行くと上の写真のように咲いていて、「うわあ！」と声をあげたほど。ゴールデンウィーク前後に植えたバラたちは新苗だったので、花をまだみておらず、ついていたつぼみも株の成長を優先して取り除いていたから、グラハム・トーマスが我が家のバラの花第1号となった。バラってこんなにきれいだったかしら、とこれまでの人生観ならぬバラ観が塗り替えられたような思いがした。

グラハム・トーマス（またの名をAUSmas）はイギリスのバラ育種家デビット・オースティンによって育種され、1983年にデビッド・オースティン社が発表した。

名前は伝説的なバラの栽培家であり、ガーデンライターでもあったグラハム・トーマス氏（Graham Stuart Thomas）にちなんでいる。1993年にはイギリス王立園芸協会の「ガーデンメリット賞」を受賞し、2009年には「世界で最も人気のあるバラ」としてバラの殿堂入りをした。イングリッシュローズ、デビッド・オースティン社を代表するバラの品種となっている。

品種名	グラハム・トーマス（Graham Thomas）
系統	シュラブ（S）
作出国	イギリス
作出者	デビッド・オースティン（David Austin）
発表年	1983年
花形	オープンカップ咲き、中輪
開花性	四季咲き
芳香	微香だけどほとんど感じないことが多い

ユーステイシア・ヴァイ

グラハム・トーマスさんとは？

バラの名前にもなったグラハム・トーマスさんとはどんな人なのか。少し調べてみた。

グラハム・スチュアート・トーマスさん（1909年4月3日-2003年4月17日）はイギリスの園芸家であり、バラ研究家。

もっともっと昔の19世紀とかの人と思っていたけど、自分の祖父よりも一回り上くらいの世代だった。100以上のナショナル・トラストガーデンの修復と管理、ガーデニングに関する多数の著作があるらしい。アマチュア園芸家と音楽家の家庭で育ち、6歳の時に贈られたフクシア（ホクシャ）をきっかけに植物に興味を持ったのだとか。高山植物にも興味を持ち、8歳でガーデニングを自分のキャリアとする決意を固めたという（何ということか！）

成人後にはイギリス国内の著名なナーセリーで働き、庭のデザインや植栽理論を学び、バラの育成にも携わったようだ。バラ以外にも多くの植物に関する研究を行い、著作を残している。ナショナルトラストの仕事にも長年にわたり数多く携わり、トーマス氏自身が「傑作」と表現しているモティスフォントアビー（素晴らしい庭園の写真が見られます！）は、優れたバラのコレクションとトーマス氏のガーデンデザインの技術を知ることのできる著名な庭となっている。

トーマス氏は1975年大英帝国勲章を与えられ、そのほか多数の園芸に関する名誉や勲章を受賞している。トーマス氏はデビッド・オースティンの育種場にも頻繁に出入りをしていたようで、育種家たちに多くの励ましや助言をしていたのだとか。そうした恩に応えてデビッド・オースティンは新しく作出するバラにトーマス氏の名前をつけることを決定し、候補の中からトーマス氏自ら選んだのが「グラハム・トーマス」となっている。トーマス氏の名前を冠したものはバラに限らず、スイカズラ（ハニーサックル）にもその名前がつけられているという。